三光院は、京都・嵯峨野の「竹之御所」と呼ばれる、皇室ゆかりの尼門跡寺院・曇華院に室町時代から伝わる「竹之御所流精進料理」を受け継ぐ、日本で唯一の尼寺だ。
西井さんは、初代住職の米田祖英禅尼、2代目星野香栄禅尼に続く、竹之御所流の後継者である。
仏門に帰依した天皇家の皇女や公家の息女のために作られた、優美で洗練された味わいの精進料理を、本堂奥にある十月堂にて完全予約制で一般の人たちにも提供する。
食事は1日2食、それも「残り物」をいただく
今回、取材に伺ったのは午後3時。西井さんがスタッフたちと遅い賄いの準備をしているところだった。西井さんの毎日の食事は、朝食と遅い午後にいただくこの賄いの1日2食である。2食とも「お客様にお出しした残り物」だと笑う。
「おそらくね、お客さまにお出しする料理を作りながら、自分の食べるものを作る料理人なんてあまりいないと思います。頭の中はお客さまにお出しする料理のことでいっぱいだから、自分の食事のことなんて考えないの。だから年中、残り物ばかり食べているけれど、飽きません。まったく平気」
そう笑いながら、西井さんは本日の“残り物”を冷蔵庫から見繕ってくる。青じそを刻み、茄子を揚げると手早く器に盛りつけて、お盆に横一列に並べていく。器は禅の修行僧が使う持鉢(じはつ)という入れ子の漆器。細長いお盆は煎茶道で用いる長手盆を食事にも使っている。
本日の賄いは、青じそのおばん、おつゆ、茄子の枝豆和え、押しきゅうりの酢の物、たくわん2切れ。残り物といえど、伝統の竹之御所流の精進料理である。せっかくの機会なのでレシピも伺った。


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