前立腺がんは、基本的にはおとなしいがんですが、なかには進行の速いものがあります。したがって、前立腺がんの検査で目指すのは「すべてのがんを見つけること」ではなく、「放っておくと命に関わるがんを見つけること」です。
おとなしい(悪性度の低い)タイプの前立腺がんは、成長がゆっくりで、前立腺から外に出て周囲の臓器に広がったり、転移したりすることはほぼありません。一方で、進行の速い(悪性度の高い)タイプは、早期に転移して進行がんになりやすいため、なるべく手術などの根治療法をして、がん細胞をなくしてしまうことが必要となります。
早期は自覚症状がないからこそ…
悪性度に関係なく多くの場合、早期には自覚症状がありません。がんが育って大きくなってくると、尿が出にくい、頻尿、残尿感などの排尿障害や、血尿があります。大竹さんは前立腺肥大による頻尿や尿の出にくさがあったそうですから、検査しなければ診断できなかったと考えられます。
前立腺がんの早期発見には、PSA(前立腺特異抗原)が有用です。
PSAは前立腺から作られるたんぱく質で、一般的に3ng/mLを超えると詳しい検査が検討されます。特別な採血は必要なく、大抵の人間ドックには検査項目として含まれていますし、会社のがん検診でオプション選択できれば、採血にプラスするだけです。費用は自費で3000円ほどです。
一方で、PSAでは治療が不要な(悪性度の低い)前立腺がんも発見してしまう、というデメリットも指摘されています。
日本泌尿器科学会では、50歳以上の男性への検査を推奨していますが、明確な上限年齢は定めていません。有効性の根拠となった大規模研究を踏まえると、検査の効果が実証されているのはおおむね69歳程度で、それ以降は個々の患者の健康状態に応じた判断が重視されています。
アメリカの予防医学専門委員会も、55〜69歳ではメリット・デメリットを理解したうえで個人の判断に委ねるとしていますが、70歳以上では明確に「PSA検査による前立腺がんスクリーニングを推奨しない」としています。


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