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かつては円高に泣き、今は円安に苦しむ日本経済、「日米通貨同盟」は本当に「円安につける特効薬」となるのだろうか

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今回の協調介入は、アメリカの利益にもなっているはずだ(25年の日米財務省会談時)(写真:ブルームバーグ)
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約40年後の整理としては上記でいいのであろう。それまで日の出の勢いだった日本経済が、おかしくなり始めた。今から考えると、あそこが「時代の転換点」だったようにも見える。為替の世界ではありがちなことに、陰謀論的な解釈がなされたりもするところだ。

プラザ合意という経済ドラマは、偶然のなせる業だった

とはいえ、双日(当時は日商岩井)に入社して2年目だった筆者としては、あの経済ドラマがいかに偶然のなせる業であったか、と学生諸君に強調したくなる。「強いドル、強いアメリカ」を標榜していたロナルド・レーガン大統領は、なぜかあのときだけ「ドル安で構わない」と言い出した。それで「気が変わらないうちに」と、ベーカー長官は焦って会合を招集した。

それまで円高を恐れ続けてきた日本が、なぜあのときに限って介入に賛成したかと言えば、たまたま同年2月に「闇将軍」田中角栄が脳梗塞に倒れていたからである。ときの大蔵大臣、竹下登氏には田中派を乗っ取り、総理・総裁を目指すという千載一遇の好機が訪れていた。ゆえに竹下蔵相はアメリカに貸しを作り、中曽根康弘首相の下で日本の国際的なプレゼンスを向上させることを目指したのである。

それ以前に、為替市場への「協調介入」は滅多に成功するものではない。プラザ合意は数少ない成功例だからこそ、今も歴史に名をとどめているが、それ以外の介入はほとんど死屍累々たるものがある。巨額のマネーと複雑な思惑がうごめく為替市場を、政治家が狙いどおりに操作できると考えるのは、そのこと自体が一種の思い上がりというものであろう。

それでも「プラザ合意」という前例があるものだから、為替の世界では今もその残像を追うような行為が絶えない。今のトランプ政権で大統領経済諮問委員長を拝命し、その後はFRB理事に転じたスティーブン・ミラン氏は、2024年11月に発表した政策論文の中で「マー・ア・ラーゴ合意」なるものを提唱している。すなわち、基軸通貨ドルは国際決済に使われるから割高となり、アメリカの貿易赤字拡大を招いている。ゆえにアメリカの貿易相手国には関税や安全保障、ドル安誘導などの形で、コストを支払わせるべきである。そうやってアメリカの製造業の競争力を回復させよう、という提案であった。

ミラン論文こと「グローバル貿易システムの再構築に向けたユーザーズガイド」は、一時は為替市場の注目を大いに集めたし、25年4月にトランプ政権が導入した「相互関税」の理論的支柱ともなったのであろう。もっともその後の世界では、じわりと「ドル離れ」が進んだ。世界の中央銀行が外貨準備のドルを売って金を買うものだから、金相場が未曽有の高値となった。「金利とドルは安いほうがいい」と単純に考えているトランプ大統領は、それでご満足だったろう。ただし米国債の需給、転じてドルの長期金利の上昇を心配するベッセント財務長官にとっては、文字どおり「針のムシロ」であると言っていいだろう。

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