また、SNSを見渡してみると、「あの登場人物たちはどうしたらよかったと思う?」と子どもに考えさせることもできると、親世代からも好評だ。「思ってたより個性的で、しかし思ってたよりずっと深い」――ちいかわに触れた人たちは、そんな感想を持ったようだ。
リピーター獲得も大事だが、新規獲得はもっと大事
近年では、多くの映画が入場者特典を設定し、リピーターをいかに集めるかにシフトしつつある。その点、ちいかわはリピーターを集めながらも、話題を生み出すことによって認知を拡大し、新規ファンもしっかり獲得している。作品のコンテンツ力を知っている人からすれば「そりゃ、ちいかわだもん」と思うかもしれないが、冷静に考えてとても凄いことだ。
例えば……筆者がオタクをしているドラえもんにそれができているか、と言われたら軽くうらやましい気持ちになってしまう。
とくに、入場者特典の豪華さは、羨ましくなった。
ドラえもん映画の場合、声優一新の2006年から2019年公開の『のび太の月面探査記』までは引っ張ると走るおもちゃがもらえていた。しかし、2020年公開の『のび太の新恐竜』以降、まんがBOOKというマンガ冊子に変更されている。さらに、近年ではカラーバリエーションもなくなり、見た目も内容も同じ冊子のみの配布に変わってしまった。
ランダム性を排除するのは、転売対策としては正しい姿勢なのかもしれないが、多くの人に届くほど話題になるとは思えないし、リピーターを獲得できるかと聞かれると首をかしげざるを得ない。
他にも、2026年に公開された『新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!』や『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』では、冊子やカードなどの特典を配布していた。
魅力的な入場者特典は、映画の興行に必須のリピーターを生む効果的な施策だ。とはいえ、作品のコアファンであるリピーターばかりに頼っていては、作品はいずれ先細りしてしまう。だからこそ、リピーターと新規層を同時に獲得し続けているちいかわには、見習うべき部分が多大にあるのではないだろうか。
ついに興収100億円を圏内に捉えた『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』。これから公開される映画作品はその施策を参考にし、入場者特典を決めるべきなのかもしれない。


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