テレビの影響が大きかった時代に、継続してCMを流したことで、「ドモホルンリンクル」という商品名と有名なキャッチコピーは、日本の女性に「高いけど良い化粧品」として印象づけた。
こうして全国的な知名度を獲得した再春館製薬所だが、本社を熊本県に置くことには強いこだわりがあるという。
どんな会社になりたいか
ドモホルンリンクル誕生から52年。同社は一貫して熊本を拠点に商品をつくってきた。2001年に益城町に工場を移設、2007年には本社機能を統合して「再春館ヒルトップ」と名付けた。
東京や大阪、福岡、名古屋、仙台には、「コミュニケーションスペース」と呼ばれる商品とのタッチポイント・カウンセリングなどを受け付ける相談カウンターがある。しかし、そこで購入した商品を持ち帰ることはできない。本社で注文を受け、商品は熊本の工場ですべてつくられるのだ。
なぜ、ここまで熊本にこだわるのか。
「私たちの活動は、『熊本への恩返し』でもあります。熊本の自然の力がなければ、ドモホルンリンクルは存在しませんから」
今後も熊本から離れるつもりはないという。
「再春館製薬所が大切にする考え方に、『幸福列車』という理念があります。お客様、社員、社員の家族、パートナー(協力)会社、熊本やその自然環境など、ステークホルダーとその周辺に関する幸せが連鎖し、循環し続けるという考え方です」(小林さん)
実際に同社は、熊本への恩返しとして、植樹活動やイルミネーション事業、奨学金など、地域貢献活動を継続している。10年前に地震で損壊した熊本城修復では、自社も被災するなか、企業として5億円、西川通子会長個人で1億円を寄付した。2026年7月28日に再度発生した熊本地震でも、自社の営業再開と並行して医療・介護施設に自社備蓄物資を提供、被災した家庭への社員寮の無償開放を行った。
マーケティングの世界では、商品が選ばれる理由は、大きく3つに分けられるという。「いちばん安い」「いちばん優れている」、そして「いちばん愛されている(知られている)」の3つだ。
1つ目、2つ目はいばらの道だ。再春館製薬所は1994年以降、徹底して第3の道を目指している。


※ログイン後、コメント入力が可能です。