今回、政治神経科学のパイオニアが、「認知的硬直性」が「イデオロギー的硬直性」に結びつくことを明らかにし、ストレスや欠乏、社会的排斥が人々を過激主義へと押しやることを指摘した、分断の時代の必読書『イデオロギーに飲まれる脳:硬直的思考の脳科学』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
イデオロギーが人間の行動を定める
一般的には、イデオロギーは大きなビジョンだと考えられている。壮大で、かつ空気のような存在だ。
形がなく、個人の自由にはならない。「保守主義」「リベラリズム」「極右主義」「共産主義」「資本主義」「人種差別主義」「性差別主義」「有神論」「ポピュリズム」といったものについて、それぞれの詳しい中身を、無数にある意味と解釈とともに説明できる人はほとんどいない。
こうした「○○主義」というのは、天界から見下ろしているように、人生の輪郭を描き出し、人間の行動を定める。そして宇宙の秩序を教え、私たちがその中で他者とどのように関わるべきかを指示する。
信奉者にとっては、あるイデオロギーが示すユートピア的な運命は、永遠という名の雲から削り出されてきたように思える。その雲は私たちの頭上に大きくそびえる力であり、崇敬の対象になっている。
私は以前から、神聖で静的なものというイデオロギーのイメージに違和感を抱いていた。



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