次に「豆腐」について見ていきましょう。
大豆をつぶして煮、そこににがりを打って作る白い食品の豆腐は、日本でも古来さまざまな料理に使われてきましたが、これはそもそも中国発祥の食べ物です。その歴史は古く、伝説上では2世紀頃、前漢王朝の劉安(りゅうあん)という人物が作ったとされています。
本当に劉安が作ったかどうかは定かではありませんが、すでに3世紀頃のお墓の壁石には、豆腐を製作しているところを描いたとも考えられる絵が刻まれています(※1)。
このように豆腐が1700年以上前から食べられていたことは確かなようですが、「豆腐」という2文字が文献上に現れるのは、それから700年ほど時間が経ってからのことで、10世紀中頃に書かれた随筆『清異録(せいいろく)』の中に初めて「豆腐」が登場します。
この随筆が作られて以後、豆腐はモノの名前として社会に定着し、現在に至っています。
豆腐はなぜ「豆が腐る」のか?
では、豆腐はなぜ「豆が腐る」と書くのでしょう。その理由についてははっきりとこれだと言い切れるわけではありませんが、いくつか説が主張されています。
インターネット上では、寄り集まって固形状になった柔らかいものを中国では「腐」と呼ぶから「豆腐」というのだという話が広まっていますが、『漢語大字典』や『故訓彙纂(こくんいさん)』など大型の辞典、また俗語を集めた辞書などに、そのような意味や用例は1つも見いだせません。これは俗説と言えるでしょう。
ほかにもさまざまな説が考え出されていますが、動物の乳を発酵させて作る、チーズに似た「乳腐(にゅうふ)」と呼ばれる食品が存在し、その「乳腐」に似ているから「豆」の「乳腐」、つまり「豆腐」と名付けられたとする説があります。


※ログイン後、コメント入力が可能です。