有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

なぜ腐っていそうな「納豆」に「腐」がなく、腐っていない「豆腐」に「腐」があるのか 漢字専門家が解き明かす語源のナゾ

6分で読める
漢字の大疑問
「納豆」と「豆腐」。2つの食品に隠された、漢字と語源のナゾとは?(写真:kikisorasido/PIXTA)
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

これは日本の著名な食物史学者である篠田統(しのだおさむ)氏の説です(※2)。篠田氏の主張の根拠を見てみましょう。

「豆が腐っている」からではない?

『唐國史補(とうこくしほ)』という、中国・唐代の逸話を集めた本の中では、穆寧(ぼくねい)の4人の子ども「賛・質・員・賞」が、それぞれの気質にちなんで長男から順に「酪・酥・醍醐・乳腐」と例えられたという話が載っています(巻中)。

『漢字の大疑問 いつも使っているのに意外と知らない言葉の世界』(マガジンハウス新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そして、四男は「最も(ぼんこ:かたくなで融通が利かないこと)」だから「乳腐」なのだと書かれています。

ここに出てくる「酪・酥・醍醐」はすべて発酵乳製品であることから、「乳腐」も同じく発酵食品であったのでしょう。また、それが「最も凡固」という人の性質に対応させられていることから、乳腐はチーズのような固形の発酵食品であったのではないかと推測されます。

篠田氏はこのような推測をもとに、豆でできた固形の「チーズ」のような食品だから、〈とうふ〉は「豆腐」と名付けられたのだと考えるわけです。断定はできませんが、私にはこの説が最も説得力のある説明に思われます。

昔から物の名や語源については、さまざまな時代の人がさまざまな説を述べています。物が名づけられた理由は、それだけ興味をかきたてられやすく、そして人に話したくなるものなのでしょう。

※1 河南省密県にある打虎亭漢墓の「一号墓東耳室南壁西幅石刻画像」。『密県打虎亭漢墓』(文物出版社、1993年、134頁)
※2 篠田統「豆腐考」『全集 日本の食文化 第三巻』、雄山閣出版、1998年

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数