埋めたネコを解剖してほしい
「2週間前に埋めたネコを、解剖してもらえませんか」
大学が年末の休みに入る直前のことです。お昼ご飯を食べ終えたころ、事務から1本の電話が転送されてきました。電話口の相手は声の感じからすると中年の女性で、「ネコの病理解剖をしてほしい」という相談でした。過去に書いた記事(過去記事はこちら)を読んで、獣医病理医であるぼくのことを知ったそうです。
それだけならよくある相談ですが、話を聞くと、そのネコが亡くなったのは2週間前で、遺体はすでに自宅の庭に埋葬してあるとのこと。「掘り起こすので、今から病理解剖をお願いしたい」というのです。
亡くなったのは、19歳のメスのネコでした。12歳ごろから慢性腎臓病の治療を続けており、亡くなる1カ月ほど前からは、2~3日に1回、自宅で水分を補うための点滴を受けていました。
終末期には口内炎で餌が食べられなくなり、貧血も進んでいたため、動物病院の獣医師からは安楽死を提案されていたそうです。しかし、飼い主さんは愛猫を安楽死させることを決断できませんでした。迷っているうちにもネコの容態は刻々と悪化していき、最期は飼い主さんの膝の上で眠るように息を引き取ったといいます。


※ログイン後、コメント入力が可能です。