子どもにとっての地獄の詰め合わせのような状況だ。さぞ不幸せな夏休みを過ごしたのだろうと思うかもしれないが、筆者たち兄妹にとって、これは大冒険のはじまりにすぎなかった。
山口の田舎で繰り広げた、まるでのび太のような大冒険
筆者たちを預かってくれた父方の祖父母は、山口県柳井市で米農家を営んでいた。
険しい坂道を登り切った先にある父の実家の敷地で、段々に連なる田んぼが青々とした稲穂を揺らす。当時は米だけでなく、しいたけの栽培もしていた。倉庫に積まれた米俵から少し溢れた米にたかる虫を見て、「これは何だろう?」と首を傾げたのを覚えている。
農家だった祖父母は毎日仕事があるため、孫の相手ばかりしていられない。そう、子どもだけの大冒険のはじまりだ。まるで卵の化石から孵したピー助のため、夏休みの大冒険を繰り広げたのび太たちのように、野山を駆け回っていた。シダ科の植物が生い茂っている場所は、まるでのび太たちが冒険した白亜紀のようだった。
「今日は恐竜の化石探しじゃ!」
「ピー助はおるんかね?」
こうして兄とひざを突き合わせては、今日は何をするのか相談し合っていた。
山の良いところは、“良い感じの枝”がたくさん落ちていることだ。
「これ俺の剣じゃけえ!」
「私の剣はこれにするわ!」
己の剣に相応しい枝を拾い、ブンブンと振りながら連れ立って歩き回る。枝がたくさん落ちていたことで喧嘩することもなく、兄妹仲良く冒険を繰り広げていた。


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