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スペイン・セウタでの移民急増が突きつけるヨーロッパの危機―モロッコの政治利用と揺らぐ移民政策、そして日本の教訓

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スペイン・セウタへの大規模な移民流入に赤十字とNGOが食料品を配布している(写真:Europa Press News/Getty Images)
  • 安部 雅延 国際ジャーナリスト(フランス在住)
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ヨーロッパでは、ロシアがウクライナ侵略を開始する数カ月前となる22年、親ロ国ベラルーシが中東からの移民数千人を集めて隣接するポーランドに追いやり、国境を揺さぶったことがある。

ポーランド側はあわててベラルーシとの国境沿いに有刺鉄線を設置し、緊張が走ったが、ロシアを背景にベラルーシが移民を利用してポーランド及びEUに揺さぶりをかけた例と認識されている。

8月4日のEU緊急会合は、スペインの移民政策に不満を示すイタリアやデンマークの呼びかけで開催が決まったが、イタリア、デンマークが進める国境管理強化とスペインの不法残留者50万人に就労許可を与えるスペインの計画は逆行している。

緩い移民政策に対してはアメリカのトランプ大統領が「サンチェス左派政権の緩い移民政策の向こうには地獄が待っている」と批判している。

アフリカの若者がヨーロッパを目指すのは経済だけではない

北アフリカ・マグレブ地方のモロッコ、チュニジア、アルジェリアを含むアフリカ諸国から、ヨーロッパへ向かう難民・移民には長い歴史がある。

かつて帝国主義時代には、多くの国はヨーロッパ列強の植民地だったという歴史的つながりがある。事実、マグレブ諸国はフランスが旧宗主国でフランス語圏だ。スペインはモロッコ北部と西サハラに影響を持ち、イタリアはリビアの宗主国だった。

移民がヨーロッパをめざす最も大きな理由は、ヨーロッパとの所得格差で、ヨーロッパでは最低賃金や社会保障が比較的充実している国が多いことがある。一方、北アフリカでは若者の失業率が高く、とくに大学卒業者でも就職が難しい国が多く、家族を養うため、ヨーロッパで働いて送金することを期待する人が急増している。

少子高齢化が進み労働力不足のヨーロッパに比べ、若年人口が多いアフリカの若者たちには、農業、建設、介護、飲食などの分野で外国人労働者への需要がある。

さらには地理的にも非常に近いことが大きい。モロッコとスペインはジブラルタル海峡で約14㎞、スペイン領セウタ・メリリャは北アフリカと陸続きだ。チュニジアからイタリアのランペドゥーザ島も比較的近距離で、密航業者も活動しやすい環境がある。そのため、言語の壁がなく、親族がヨーロッパに生活基盤を持っている例も多い。

加えて、充実したヨーロッパの社会保障だけでなく人権が保障され、権力者の横暴に震えながら生活するアフリカとは大きな違いがある。

内戦や一部地域での紛争が絶えないことで人命が脅かされるリスクも低く、充実した教育と医療も大きな魅力だ。子育て手当や住宅支援も充実している。より安全で安定した生活への期待感は高まる一方だ。

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