とはいえ抗がん剤による治療の副作用は生半可なものではない。寒気や倦怠感、脱毛など、あらゆる不調が訪れた。そんな中で始めたのが、体調や気分の悪さを10点満点で記録する習慣だった。だが、10点と最悪の日でも体を動かすことで、明らかな変化を感じた。
「倦怠感がMAXの日でも、朝は必ず着替えて、ヨガマットの上でストレッチと筋トレをし、YouTubeの『The Fitness Marshall』でマーシャルと一緒に踊る。5曲踊れない日は、3曲だけはマストにしていました。この半年間、それを1日も欠かさなかった」
医師と言えども、がんについて詳しくない智久さんは、専門外という立場でありながら、できる限りのことをしようしてくれた。
「『まみちゃんは僕の命を救ってくれたから。今度は僕が救う』って言ってくれたんです」
仕事で疲れていても、翌朝が早いのに夜中に何度も起こされても、怒ることなく三松さんを抱きしめた。
同じ病を経験したわけではない。それでも、隣にいて否定せず受け止め続ける。その存在の大きさを、三松さんは何度も口にした。
ある日、夫が見つけてきた学会発表に希望の光が…
三松さんが運動にこだわった理由は、単なる気合いだけではない。夫の智久さんが学会で見つけてきた、ある発表がきっかけだった。
「乳がんの抗がん剤治療中、しびれが少なかった人は何をしていたか、という論文でした。それを見たら、よく歩く人ほどしびれが少ないっていうデータが出ていて」
背中を押す出来事は、もう1つあった。2026年5月に、NHKでタモリさんと京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授が出演する特別番組が放送された。がん治療と向き合う中で運動が持つ効果について、専門家の発表とともに紹介されていたという。


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