たとえば、パワハラを理由に会社から注意を受けた人のなかには、表向きには謝罪しながらも、「正直言って、自分のどこを直せばいいのかわからない」と言う人がいます。
そうした人に、瞑想やジャーナリング(頭に浮かんだことをそのまま紙に書き出して心を整理する習慣)といったトレーニングをして、自分がやったことを反省するようになる人もいますが、一方、「なんで俺が悪いんだ。どうしてこんなのを書かされなきゃいけないんだ!」という怒りばかり、という人も少なくありません。
しかし、その人のなかに溜まっているネガティブ感情を、一度すべて出し切るつもりで話してもらうと、やがてこんな言葉が出てくることがあります。
「俺は本当に必死にやってきたんだ。昔、自分も上司から結果が出ないと責められて、それが本当につらかった」
「上司から、会社から認められるため、お客さんに喜んでもらうためにがんばってきた」
「だから、自分の部下たちに『君ならもっとできる!』とがんばってほしかった」
ここまでたどり着くと、ものの見え方が少しずつ変わりはじめます。「ああ、だから俺は、ここまで売上にこだわっていたんだな」、そう気づいた瞬間、はじめて相手の存在がはっきり見えてくるのです。「たしかに、部下たちにはかなりきつい言い方をしていたかもしれない」と。
そんな思いが生まれたあとには、「強くプレッシャーをかけすぎてしまって、申しわけなかった」、そんな言葉が、無理なく自然に出てくるようになります。心の奥に溜まっていた怒りや悔しさ、恐れといった感情を出し切ることで、相手の気持ちを想像するゆとりが生まれてくるのです。
そこまで自分の感情に向き合えるようになると、それまでの高い圧をかけるような態度はやわらいでいき、声のトーンや言い方も自然とおだやかなものに変わっていきます。パワハラが起きなくなるのは、まさにこうした変化が起きたときです。他人責めが起きる本当の理由は「自分の感情に向き合えていない状態が続いているから」なのです。
「自分責め」の無限ループにハマる理由
感情を抑え続けた人がはまりやすいのが「自分責め」です。何かあるたびに、自分の足りないところを責め、「自分が我慢すればいい」「自分さえ耐えれば、丸く収まる」と、自分に言い聞かせてしまうのです。


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