そして、怒れば怒るほど、ますます怒りっぽくなってしまいます。だからこそ、まずは人前ではなく、「1人の場」で感情を出し切ることが大切なのです。1人の時間に感情をしっかり出し切ると、怒りやイライラの奥から、まったく別の感情が浮かび上がってきます。
「ちゃんと自分ががんばっていたことを、認めてほしかった」
「本当はさびしかった」
そんな気持ちがふっと湧いてくる。これが、あなたの本心です。ネガティブ感情に隠された心の奥には、必ずその人のポジティブな本心が隠れています。裏を返せば、心のなかのネガティブ感情を出し切らないかぎり、その本心にたどり着くことはできません。「闇」を出し切らなければ、「光」は見えてこないのです。
「他人責め」は行き場を失った感情の結果
長いあいだ感情を抑えこみ続けていると、行き場を失った感情は、やがて別のかたちで表に出てくるようになります。私が現場で見てきたかぎり、大きく分けると、次の2つのパターンがあります。
・相手に原因を求める「他人責め」
・自分に原因を求める「自分責め」
これらは、一見、正反対のように見えます。けれども、どちらも本当の感情に向き合えなかった結果なのです。
ひとつ目の「他人責め」は、イライラを抱えて、怒りをぶつけやすい相手に向けてしまう状態です。我慢が限界を超えたとき、突然キレてしまい、家族や部下、下請け業者、店員など、自分より立場が弱いと感じる相手にぶつけてしまう人もいます。
本来、向き合うべき相手やテーマから目をそらしたまま、行き場を失った怒りだけが外に漏れ出して、一番反論されにくそうな相手に向かってしまうのです。たとえば、子どもに対して「お母さんの言っていること、間違ってる? 間違ってないわよね? なのに、どうしてできないの!」と、つい強い口調で詰め寄ってしまうなど。
言っている本人は、「感情的になっているつもりはない」「筋道を立てて、ちゃんと説明している」などと考えていることがほとんどです。けれども、子どもはそれを「責められている」と感じます。受け取る側にとっては、強く感情的に響いてしまうのです。
また、正論やエビデンスを並べて、相手を論破しようとする人もいます。その奥には、「人に負けたくない。なめられたくない」「自分は正しいと認められたい」という本音が隠れていることが少なくありません。ただ、その気持ちに自分で気づけていないまま、結果として理屈だけで相手を追いつめてしまうのです。


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