「公務員が公的価値を生み出す」という本書の主張を前回説明したが、それは(とくに日本の人々にとっては)目新しい主張でもないだろう。「官僚主導」が批判の的となった1980年代には、政治家を押しのけてでも自ら信じる国策を進めるべきだと言うキャリア公務員の存在がしばしば強調されたが、それと本書の主張の何が違うのか、という話である。
本書は、95年にアメリカで原書が出版された後、すぐ注目されて引用が増えたわけでもない。理論的に重要な著作というより、実務をベースにして頭を整理するために読むものと考えられていたところがある。筆者自身、尊敬する研究者から「こういうの読むんですね」と意外がられたことを覚えているが、研究書というより実務家向けとみなされていたのだ。
そんな本書が、現在では多くの研究論文に引用されるようになり、今も引用数は増え続けている。原書出版から30年を経て2024年には邦訳も出版された。これは、行政学におけるパラダイムの交代と大きく関わっている。
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