市場環境は変わっているのに、組織は変わっていないーー。
「“大企業病”とでもいいますか、歴史と知名度にあぐらをかいていましたね」
少子化という外部環境の変化。新規事業投資の失敗。そして組織の硬直化。まさに四面楚歌の状況だった。
本社が過去の成功体験から抜け出せずにいた頃、現場では別の変化が起きていた。その兆しをいち早く感じ取っていたのは、全国の家庭を訪問していた学習教材の営業担当者たちだった。
20〜30代営業マンが見つけた、新規事業の種
時は少し遡り、宮原社長が当時東京本社に異動する1年前の2003年、学習教材の訪問販売はすでに厳しい局面を迎えていた。
少子化に加え、オートロック付きマンションの増加、共働き世帯の拡大によって、営業担当者が家庭を訪問してもなかなか保護者に会えない。
「10軒回ってもドアが開いたのは2軒程度だったと聞いています」
だが、その2軒が学研の未来を変えることになる。
在宅している家庭のうち、保護者が対応するケースはごくわずかだった。代わりに応対するのは、孫の面倒を見る祖父母たちだ。当然、子ども向け教材の営業だけでは会話は続かない。何度も足を運ぶうちに世間話をするようになり、やがて生活上の悩みを打ち明けられるようになる。
「子どもに迷惑をかけたくない」
「できれば近くに住みたい」
「年金で入れる住宅が見つからない」
「学研さんで作ってよ」
その声に着目したのが、後に学研ココファン(以下、ココファン)社長となる小早川仁氏(※現在は学研HDの取締役専務執行役員とココファンの代表取締役兼CEOを兼任)ら若手チームだった。小早川氏は当時30代。宮原社長が「若手のエースだった」と振り返る人物である。


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