商店街を歩いていると、地元客で賑わっている店を見つけたので入ってみた。通りに面したカウンターの前では、昼間だけれどビールを飲む人もいる。
店の名は「Ponte. Yokohama Bashi/ポンテ横浜橋」(横浜市南区真金町1-3)だ。この日は残念ながら売り切れていたのだが、地元では手作りソーセージで知られる店だ。店主のマキさんに取材のためにうろついていることを伝えると、
「それだったら、ぴったりの人がいますよ。阪東橋のヌシみたいな人。もうすぐ来るころじゃないかな」
外国人が野菜を仕入れるルートとは?
その言葉どおり、白杖を手にしたワンさんが店に入ってきた。この人がマキさんの言う阪東橋のヌシだ。
「なに? この街のことを知りたいんだって? なんでも聞いてよ。ついこないだ白内障の手術をして、今は目がよく見えないけど、耳は聞こえるからさ」
そう言いながらアイスコーヒーを注文するワンさんは日本人だが、名字に「犬」の字が入っているからニックネームが「ワンさん」となった。熊本県出身で、若いころに関東にやってきて、いろいろな商売を手掛けた。30年ほど前に福建省出身の女性と出会い、結婚した。「だから、商店街の中国事情には詳しいぞ」とのこと。
ワンさんいわく、横浜橋通商店街で野菜や鮮魚を売っているのは、今や日本人より中国人のほうが多いだろう、とのこと。彼らの扱う野菜などの商品が相対的に安い理由は、仕入れ先に秘密があるのだろうと考え、そのことについて聞いてみた。
「一部には農家に直接交渉しているケースもあるんだけど、多くは日本の八百屋や魚屋と同じように、通常の卸売市場から買っています」とワンさん。
ネット上には怪しげな裏ルートや密輸などを疑う声もあるようだが、そうではないようだ。ワンさんの話によると、安さの秘密は主に2つあるのだそう。
「ひとつはグループ仕入れだね。この商店街の店は、店名こそ別々でも、実際には仲間同士のネットワークを築いている。グループで、大量に仕入れ、それを複数の店舗で分け合っているんですよ。一店舗ごとに少量を買うより、まとめて買ったほうが安くなるという理屈です」

