また、ICTが整っている学校や、教育支援センターが近い学校がある一方で、何の整備もされていない学校がある。今後、こうした地域差により、支援内容にも格差が生じることも想定される。この課題は、学校現場だけで解決できるものではない。
さらに、不登校支援は教育の分野だけではできない。「心理」「福祉」「医療」などの知識も必要になるため、当然、担任教師だけでは限界がある。そのためにも、「担任が1人で抱え込まない」「管理職が専門家の知見を生かすために、人と組織をつなげる働きかけをする」「養護教諭や教育相談担当、またスクールカウンセラー等の専門家や教育支援センターなどと連携してチームで対応する」などの体制が重要になる。
「学校に新たな負担」を押し付けないために
新しい制度を実効的なものにするためには、学校への支援が不可欠で、特に次の点が重要だと考える。
この制度は「書類を増やすため」ではなく、「子どもの学びを保障するため」であることを、学校や保護者に繰り返し説明する。
新たな業務を求めるのであれば、既存業務の見直しや削減も同時に進める。
教育相談コーディネーターやスクールカウンセラー等の専門家の配置を拡充する。
どの地域でも同水準の学びの選択肢を確保する。
「個別の指導計画」の作成方法だけでなく、不登校支援の考え方や多職種連携について学ぶ機会を増やす。
今回、提言された新しい制度は、不登校支援を「登校支援」中心から、「学びの保障」へと転換する重要な一歩と評価できる。1人ひとりに応じた教育課程を制度として位置付けようとする点は、日本の教育政策において大きな前進と言えるだろう。
一方で、制度の成否は、学校に新たな負担を押し付けることなく、チーム支援や専門家の活用、行政による人的・財政的支援をどこまで整えられるかにかかっている。
「個別の指導計画」が単なる書類ではなく、子ども1人ひとりの可能性を引き出す「学びの設計図」として機能するならば、これまで十分な支援を受けられなかった多くの子どもたちにとって、新たな学びへの道を開く制度となるだろう。来年度には、特定の地域で先行実施が始まるようであり、その成果と課題も踏まえた働きかけが、全国に広がることを期待したい。



