有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ #ヤングケアラーの僕が東大に合格するまで

「ヤングケアラー」の彼が、介護・生活保護・塾なしで東大に現役合格できた理由 「東大=富裕層のための大学」は本当か?

10分で読める
ヤングケアラー 東大生 清野孝弥氏
生活保護世帯のヤングケアラーという苦境から、現役で東大合格を果たした清野氏(写真提供:清野孝弥氏)
  • 西岡 壱誠 一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当
2/7 PAGES
3/7 PAGES
4/7 PAGES

本当にすごい話ですが、しかし「天才だったんじゃないの?」と考える人もいるかもしれません。そして正直に言えば、それは半分正解です。清野さんは間違いなく地頭の良い青年です。

でも、それだけでは絶対にない、というのが僕の見立てです。

清野さんのようにドラゴン桜的な受験を成功させる人たちには、ある共通点があります。それは、「足りないからこそ考える」という、ネガティブ・ケイパビリティ(Negative Capability)の力です。

聞き慣れない言葉かもしれませんので、少し説明させてください。「ネガティブ・ケイパビリティ」というのは、もともと19世紀のイギリスの詩人ジョン・キーツが兄弟宛の手紙の中で使った言葉です。

日本語に訳すなら、「答えの出ない、どうにも解決しようのない事態に耐える力」「不確実さや、わからなさ、宙ぶらりんの状態のまま、性急に結論に飛びつかず、そこに踏みとどまる力」といったところです。日本では精神科医の帚木蓬生先生が紹介されたことで、少しずつ知られるようになった概念です。

僕たちは普通、「問題を早く解決する力」=ポジティブ・ケイパビリティを重視して生きています。学校のテストも、仕事も、「早く正解にたどり着く力」で評価される。それはそれで、もちろん大事な能力です。

でも人生には、すぐには答えの出ない問題というものが、たくさんあります。

• 家族の病気は、いつ治るのかわからない
• 貧しさから抜け出せる日が、本当に来るのかわからない
• こんなに勉強して、東大に受かる保証は、どこにもない

こういう「わからなさ」に押しつぶされず、わからないまま、それでも歩き続けられる力 。これがネガティブ・ケイパビリティなのです。

清野さんは、この「ネガティブ・ケイパビリティ」の塊だった

清野さんの人生を振り返ると、彼はまさにこの力で受験期を生き延びた人だと感じます。

家族はいつ壊れるかわからない。お母様の症状がいつ悪化するかわからない。生活保護世帯から東大に行けるのかもわからない。共通テスト本番でE判定を突きつけられたときですら、彼はすぐに「じゃあ諦めよう」とも「絶対受かる!」とも決めつけず、わからないままの状態に、じっと踏みとどまったのです。

5/7 PAGES
6/7 PAGES
7/7 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数