有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

中国の若者が直面する経済的苦境を象徴、ベッドさえもシェアする異例の手段「ベッドシェアリング」が広がる背景事情

4分で読める
(写真:ロイター)

INDEX

中国中部の都市、武漢市に住み、営業職として働くウィニー・ツェンさん(25)は、不透明な将来に備え、異例の選択をした。見知らぬ女性とベッドを共有(シェア)し、家賃を抑えることにした。

給与が伸び悩み、失業への不安も募る中、ベッドシェアリングによって毎月の家賃負担を450元(約1万700円)減らし、月収4000元の約4分の3を手元に残せるようになった。

血縁関係もない者同士が、節約のために同じ部屋、さらには同じベッドを使って生活する――。かつては考えられなかったこうした暮らし方が、現在、中国の若者が直面する経済的苦境を象徴する現象として広がりつつある。

ツェンさんは勤務先が販売する商品を紹介するライブコマース配信を長時間担当している。ベッドシェアリングに踏み切ったのは「生き延びるためだ」と説明した。「お金がなければ、仕事を失った瞬間にリスクへ対応する力は極めて弱くなってしまう」

SNSで議論に

6月下旬に中国の交流サイト(SNS)「微博(ウェイボ)」では「ベッドを共有するなんて理解を超えた苦行だ」というハッシュタグの閲覧数が1400万回を突破。関連コンテンツは中国版TikTok(ティックトック)の「抖音(ドウイン)」で約4000万回閲覧された。

また、中国版インスタグラムと呼ばれる「小紅書(シャオホンシュ)」で「ベッドシェアリング」を検索すると3万7000件超の投稿が表示される。ツェンさんもここでルームメートを募集した。中には寝室、場合によっては同じベッドを共有できる相手を探す投稿も含まれている。

このような生活スタイルは、中国で約2億6000万人と推計される賃貸住宅居住者全体から見れば、なお少数派だ。それでも、こうした現象は、消費者心理の低迷が続き、特に若年層の間で雇用への不安が高まる中国経済の実情を映し出している。

米ラトガース大学のグローバル労働・雇用センターのディレクター、ミンウェイ・リウ氏は「都市への帰属意識や安定した長期雇用、将来の所得見通しを持てない若者が増えている現実を反映している」と指摘。こうした意識が広がれば、家計消費や住宅需要、婚姻率を押し下げ、中長期的に中国経済の重荷となる可能性があるとの見方を示した。

2/2 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数