ChatGPTに質問すれば、たいていのことは即座に答えが返ってくる。その答えは、誰かが取材して書いた記事や、編集を重ねた書籍を大量に読み込ませることで成り立つ。読み込みの多くは権利者の許諾なく行われ、回答の元になった記事や書籍の作り手に対価は渡らない。読者が元のサイトを訪れない「ゼロクリック」も広がっている。2025年8月には読売新聞、朝日新聞、日本経済新聞がAI検索サービスを手がける米Perplexityを相次いで提訴した。
ただし、争われているのはこの読み込み、つまり学習そのものではない。著作権法30条の4は、情報解析のように作品を鑑賞する目的でない利用であれば、権利者の許諾なく著作物を使えると定めている。権利者の利益を不当に害する場合は除かれるものの、AIに学習させる行為の多くはこの範囲に収まる。訴訟の争点は、学習した後に記事を複製して回答に出すことや、社名を示しながら誤った内容を答えて信用を傷つけることに移っている。
つまり出版社や新聞社は、法律で守られていない領域で対価を得る方法を探している。そこに通信キャリア2社が、1週間の間隔を置いて対照的な答えを出した。
約150の許諾コンテンツと対話する
KDDIが7月28日に始めた対話型AIサービス「Buffmee(バフミー)」は、書籍・雑誌・専門Webメディアなど約150のコンテンツを情報源とするスマートフォンアプリだ。ユーザーはコンテンツごとに用意された窓口を選び、チャット形式で質問する。回答には出典が明示され、他のコンテンツの情報とは混ざらない。料金は無料プラン(トークは1日100回まで)と月額980円のプレミアムプランの2本立てで、提供開始を記念して申し込みから1年間プレミアムプランを無料で使えるキャンペーンを実施している。
ChatGPTやGeminiのような汎用AIは、複数の情報源をまとめて一つの回答を返す。KDDI事業創造本部長の長谷川渡氏は、それを「いろんなコンテンツを混ぜて、AIが一つの答えにしている状態」と表現し、そこが一般的なAIとの違いだと述べた。
たとえば生活情報誌「オレンジページ」の窓口を選べば、編集部が試作を重ねたレシピだけを基に回答が返ってくる。鉄道趣味誌「鉄道ファン」(交友社)では約8年・92冊分の誌面を横断検索でき、翔泳社の資格テキスト「宅建士 合格ナビ」では誌面を基にした演習問題やフラッシュカードを生成できる。


※ログイン後、コメント入力が可能です。