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なぜ「わかりやすい動画教材」を見ても成績が伸びないのか…元海上自衛隊の数学教官が明かす「わかったつもり」の罠

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(写真:Mills/PIXTA)
  • 佐々木 淳 下関市立大学教養教職機構准教授
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私は自衛隊で勤務していた頃、教育部隊で動画学習が導入された時代を経験しました。まだYouTubeが存在する前の時代です。しかし、動画学習の理解度を試験で確認すると、期待したほどの成果は得られませんでした。そんな動画学習を、今では多くの人が試しては失敗し迷走しています。その理由を考えるうえで参考になるのが、「ゴンドラ猫の実験」です。

ゴンドラ猫の実験(画像:『科学的根拠+αで成果を出す 戦略的勉強法』)

1963年に行われたこの実験は、2匹の子猫に同じ景色を見せました。一方は自分で歩きながら景色を見て、もう一方はゴンドラに乗ったまま景色を見るだけでした。結果として、自分で動いていた猫は、周囲の状況に適切に反応できるようになりましたが、景色を見ているだけだった猫は、同じような行動はできませんでした。

この実験が示しているのは、「見るだけ」では学習は定着しにくいということです。これは、私たちの勉強法にも当てはまります。動画を見て満足するだけでは、試験本番で問題を解く力にはつながりません。ノートに書く、計算する、音読するといった身体行動が伴わないと、結果に結びつきづらいです。

2019年に行われた学習についての研究では、講義を受けるグループと自ら問題を解くアクティブラーニングのグループを比較しました。試験の結果がよかったのは、アクティブラーニングのグループでした。ところが、「学べた気がする」と感じたのは講義形式のグループだったのです。つまり、「満足度の高い勉強は成果が低くて、満足度の低い勉強は成果が高い」というパラドックスが起こったのです。この現象は、「学習の錯覚(illusion of learning)」と呼ばれています。

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