オレイン酸はオリーブオイルなどに多く含まれる旨みであり、これを生物濃縮して美味しいイベリコ豚をデザインしているのです。ここで1つ疑問が生まれます。草食動物の肉質を餌でコントロールしているのなら、肉食動物の肉質も餌でコントロールすれば、美味しい肉食動物の肉が出来上がるのではないでしょうか。
「ライオンの肉」の飼育コストは100gあたり2万円
肉食動物の肉を食べない3つ目の理由が「生産コストの差」です。一般に、動物は餌として食べる動植物を100%消化・吸収出来るわけではありません。言われてみればそりゃそうですよね。2kgの二郎系ラーメンを食べても、1週間後も2kg体重が増えたままでいるわけではありません。
通常、動物の血となり肉となるのは、消費するエサの10%だと言われています。つまり、10kg牧草があったとすると、1kgの体重の牛を育てることが出来ます。この牛を餌にライオンを育てるとすると、得られるライオンの肉は100gだけになります。明らかに牛1kgを食べた方が良いです。ざっくり、植物の100分の1の量しか肉食動物の肉を育てられないのです。草食動物の10倍も生産効率が悪いです。
1度計算してみましょう。動物園にいるライオンは、1頭あたり4~5kgの肉を餌として使っています。餌代は1日1万円弱と言われているので1カ月で食費30万円、年間360万円ほどになります。人間の1人暮らしの食費は平均月5万円弱ですから、5倍以上も食費がかかっていますね。
ライオンのオスは生後4~6年、メスは生後3年間で大人になるので、子どものうちは餌の量が少ないと考えても、大人になるまで餌代だけで1000万円以上かかることになります。余裕で人よりもお金がかかります。
ライオンの体重は平均150kgですが、あれだけ太っている牛ですら1頭から取れる食用の肉の量は33%ほどなので、ライオン1頭あたりから取れる肉はかなり多めに見積もって50kg程度です。つまり100gあたりの飼育コストは約2万円になります。
最高級のA5の松坂牛のシャトーブリアンですら100g1万円ですから、原価で100g2万円というのは、信じられないほどの高級食材です。これで肉が不味いというのは最悪としか言えません。餌代だけでこの試算ですから、実際の飼育コストはもっとかかるでしょうが。


