会社のパソコンで、ChatGPTなどの生成AIに仕事の資料を貼り付けたことはないだろうか。あるいは、「無料でAI動画が作れる」と聞いて検索したり、「AI搭載」をうたうソフトを試しに入れてみたりした人もいるだろう。
こうした何気ない行動が、今、会社を揺るがすサイバー攻撃の新しい入り口になり始めている。
「脆弱性」を突く侵入が首位に…
いったん会社のシステムに侵入する入り口が開けば、猶予はほとんどない。海外のセキュリティ企業が自社の観測をまとめた2026年の年次報告によれば、金銭目的の攻撃グループが最初の1台から社内の別の端末へ広がり始めるまでの平均時間は、わずか30分弱。同じ報告では、最速の事例が27秒だった。「翌朝メールを見てから対処する」では、もう間に合わないのだ。
一方で、侵入の手口そのものも変わってきた。アメリカの通信大手ベライゾンが毎年公表する「データ漏洩調査報告書」の2026年版では、ソフトの欠陥(脆弱性)を突く侵入が、盗んだパスワードの悪用を抜き、調査開始以来初めて首位に立った。
145カ国の3万件超の事案を調べた結果だ。攻撃者がAIで脆弱性の悪用を速め、守る側に残された時間は数カ月から数時間に縮んだという。

