それでも現場の受け止めは割れている。Microsoft 2026 Work Trend Indexによれば、日本では66%が今すぐAIに適応しないと遅れると感じる一方、30%は仕事のやり方を変えるより今の目標を守るほうが安全だと答えた。こうした迷いが残るなかで、成果を分けるのは個人の熱意だけではない。同調査の分析では、AIの効果を左右する要因の67%を組織側が占め、個人側(32%)の2倍にのぼる。個人の意欲だけでなく、評価制度や文化を含む組織設計が成果を大きく左右する、というのが山田氏の見立てだ。
現場の誰もが作れるということは、似たエージェントが乱立する管理問題と隣り合わせでもある。この点を記者に問われた山田氏が挙げたのが、社内のAIエージェントを一元管理する製品として7月1日に一般提供を始めたAgent 365だ。エージェントにも従業員と同じように権限を割り当てて参照範囲を絞り、社内でどんなエージェントが動いているかを可視化する。
組織設計と並ぶもう一つの壁が費用だ。Coworkは定額制のMicrosoft 365 Copilotライセンスに追加する従量課金で提供されるが、具体的な金額は公表されていない。質疑では、いくらかかるか分からないままでは導入を判断しにくいという指摘が記者から出た。山田氏は多くの顧客から同じ問い合わせを受けていると認め、利用場面ごとにどの程度の費用になるかの例を示す形で情報開示に努めると回答した。Scoutの課金体系は現時点で発表されていない。
すでにCoworkは6月から一般提供が始まっている
Coworkはすでに実用段階に入り、Scoutも実務での利用像が見え始めた。ただ全社展開には、業務の再設計とエージェントの管理体制、そして費用の予測可能性という壁が残る。Coworkは6月から一般提供が始まっており、導入済みの企業なら限定した業務で試せる段階にある。全社に広げる判断は、社内の運用体制を整えつつ、マイクロソフトが示すとしている利用場面別の費用例を確かめてからでも遅くない。

