前作でいきなり教頭に回し蹴りを食らわせたような気性の荒さはなく、生徒が教師を評価する新任校のフィードバックシステムのために、生徒に媚を売るようなコミカルな姿も見せる。しかし、彼の本質は変わっていない。板書の自己紹介シーンは98年版そのままだった。
本作のベースには、昭和と令和の対立構図がある。これまでにも昭和世代が令和のコンプラ社会に物申すドラマはあったが、本作がそれらと似て非なるのは、現代社会の子どもたちの生きづらさにスポットを当て、彼らの視点に立って昭和スタイルで寄り添う大人が、社会を切り、子どもたちに気づきを与えていく点だ。
おじさんになった鬼塚は、時代錯誤の振る舞いばかりで暑苦しい。でも、その滑稽さは決してカッコ悪くない。彼の根底にある、子どもたちを思う気持ちや誠実さが言動ににじんでいるからだろう。視聴者の胸を熱くする青春学園ドラマが戻ってきた。
不穏な空気に満たされる青春クライムサスペンス
今期の個人的な最注目作が、フジテレビ深夜枠の青春クライムサスペンス『スピナーベイト』。昨年10月期ドラマ『シナントロープ』やアニメ『オッドタクシー』の作家・此元和津也氏による原作を加藤清史郎の主演で実写化。ハリウッドメジャーの日本支社であるNBCユニバーサル・エンターテイメントが製作する。
その物語は、どこにでもいるふつうの男子高校生2人組が、犯罪と暴力が隣り合わせの半グレ社会に巻き込まれる様を描く。一方、町を揺るがす連続殺人事件が発生し、半グレ集団の元締めのヤクザも絡むなか、未熟な高校生たちが事件の闇と現実に向き合っていく。
本作にも此元和津也氏の作品らしい不穏かつ剣呑な空気が満ちあふれる。気づけば物語に引きずり込まれているような引力があるドラマだ。

