日銀はCPI総合指数を「物価安定の目標(前年比2%)」の基準としていますが、分析上はコアCPIを重視し、四半期ごとに公表する「経済・物価情勢の展望」(展望レポート)でもコアCPIとコアコアCPIの予測を提示しています。
ここで重要なのは、国際比較の際の定義の違いです。米国の「コアCPI」は食品全体とエネルギーを除いた指数を指します。日本のコアコアCPIは生鮮食品とエネルギーを除外しますが、コメや加工食品などは含まれているため、米国のコアCPIとは一致しません。
欧米のコアCPIに最も近いのは「食料(酒類を除く)およびエネルギーを除く総合」という項目で、「欧米型コア」(Western core)とも呼ばれます。2026年2月時点で欧米型コアは前年比+1.4%と、+2%の「物価安定の目標」を下回っています。
なお、日銀は2026年3月から「消費者物価のコア指標」として、コアCPI、コアコアCPI、欧米型コアについて、消費税や補助金など政策による「特殊要因」を除く指数の公表を開始しています。

2025年のCPIが上振れした最大の理由はコメ価格の高騰
2024年後半以降のコアコアCPIと欧米型コアのギャップは、「生鮮食品を除く食料」の上昇によって説明できます。特に重要な役割を果たしたのはコメ価格の高騰です。コメがCPIに占めるウエイトはわずか0.62%ですが、価格が2倍(100%上昇)となったため、CPIの前年比は0.6%pt押し上げられました。さらに、「おにぎり」、「すし(弁当)」などの項目や、外食などにも影響が波及しました。CPIが上振れした最大の理由はコメ価格だったといっても過言ではありません。
コメ価格が急上昇した背景については、日銀が2025年7月の展望レポートで詳しく分析しています。直接的な起点は以下の通りです。
(2) 2024年夏の南海トラフ地震臨時情報に伴う需要拡大が重なったことによる超過需要
(4) パンや麺類など他の食料品価格と比較した相対価格が大幅に低下していたこと
しかし、インフレ率は前年からの変化で測定するため、価格高騰がはじまった時点から1年間が経過すると、前年比で見たインフレ率への押し上げ効果は弱まることになります。実際、2026年4月のCPIでは、「米類」の前年比上昇率は+0.6%とほぼゼロまで減速しており、インフレ率の押し上げ効果はすでに一巡したと言ってよいでしょう。

