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モノは値上がりしてもサービス価格は停滞の怪 就業者の7割を占めるサービス業が直面する「賃上げの限界」

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経済指標のキホン 数値から将来を読み解く
消費者物価指数は582品目が対象で、家計調査に基づくウエイトが設定されています(写真:freeangle/PIXTA)
  • 安田 佐和子 ストリート・インサイツ代表取締役、経済アナリスト
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問題は、前年比で見たインフレ率が低下したとしても、一般の人々は2倍となったコメ価格の水準が高いと感じ続けるであろう、ということです。通常はこうした水準と変化率の差は大きな問題とはならないのですが、コメのように重要な品目が高騰した後では、統計と実感の差が無視できなくなります。

同様なことは円安の影響についてもいえます。日銀が発表している輸入物価(円ベース)は2025年に前年比-3.3%と実際には低下していましたが、これは「円安がインフレを押し上げていた」という印象には反します。これも価格水準が高いと前年比で低下しても実感できないことを示しています。

しかも、イラン戦争以降は原油を中心に輸入物価が再び上昇し、5月の円建て輸入物価は2022年のピーク水準を上回ってしまいました。次の図表で契約通貨ベース(円に換算する前の外貨建てで契約した価格)と円建ての輸入物価を比較すると、円安による物価の押し上げ効果がいかに大きかったかがわかります。

サービス価格の上昇ペースが強まるかどうかが鍵

CPIの指数水準の長期推移を改めて見ると、1990年代以降の30年間に日本経済がいかに異例の状況にあったかがはっきりとわかります。財価格は1990年代初頭から、サービス価格は少し遅れて1990年代後半から、2020年のコロナ禍までほぼ横ばいで推移してきました。2020年代に財価格は世界的なインフレや円安を受けて上昇基調に転じましたが、サービス価格は依然として小動きにとどまっています。

こうした財価格とサービス価格の乖離は人々の生活実感に直結している面があります。前述のように輸入物価やコメなどの食品価格の上昇が財価格を押し上げてきたことや、全就業者に占める製造業の割合が約15%に過ぎないことを踏まえると、財価格の上昇は大多数の人々にとってコストとして意識されていると考えられます。

その一方で、サービス価格の上昇が緩やかなものにとどまっていれば、就業者の7割以上を占めるサービス業で賃上げが広がることは難しくなります。このため、今後はサービス価格が上昇に向かい、賃金との好循環が進むかどうかが焦点となってくるでしょう。

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