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医師として、そして僧侶として《3000人を看取った住職》が説く、人生100年時代の「ぴんぴんころり」のあるべき姿

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病院に入院しているほうが安心・安全だと考えるのは間違いではないのか(写真:metamorworks/PIXTA)
  • 小笠原 文雄 医学博士、浄土真宗大谷派聖徳山伝法寺住職
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私が受け持った77歳の患者さんで、重症の心不全だった戸川恵子(仮名)さんについてお話ししましょう。心不全では、心臓のポンプとしての機能が低下するため、息切れやむくみなどの症状がだんだんと悪化します。戸川さんについても、誰もが「もうすぐ亡くなるのだろう」と思っていました。ところが、予想より1年2カ月もぴんぴんと長生きしました。

2022年8月、入院していた頃の戸川さんは、食事制限され、寝たきりの状態でした。「どうせ死ぬのなら、自分の家がいい」という思いで退院しました。その際には、心臓が停止してもまた動くように体内に装着した「埋め込み型除細動器(ICD)」などを、すべて外したのです。最期の数日を家で過ごすだけならば、こうした装置は不要だと考えられたからです。

こうして大好きな家に帰ってきた戸川さんは、周囲の予想に反して、とても元気になったのです。起き上がれるようになったばかりか、身の回りのことは自分でできるようになりました。死を覚悟していた戸川さんには、我慢することなど何もありません。食べたいものを食べ、好きなことをやって、自由気ままに暮らしていました。

私は戸川さんに、体重測定だけは毎日行うように指導していました。体重が増えていたら、心不全が悪化してむくみが増えていることがわかるからです。心不全が増悪して体内に余分な水分がたまると、さらに心臓に負担がかかります。そのため、体重が増えた場合には体内の余分な水分を減らす目的で、利尿剤を飲むように伝えていました。

戸川さんが心がけたのは、これだけです。それでも体重が減らないときは訪問看護師に電話をして、利尿剤の注射をしてもらうように、事前約束指示をしていました。

2023年10月、戸川さんが亡くなる前の夜に食べたのは、好物のウナギ。そして当日、朝食を済ませ、新聞を読み、出勤する息子に「昼はカレーライスを食べるわ」と話をしていたとき、戸川さんの心臓は止まりました。ふわ〜として意識がなくなり、一切苦しむことなく旅立ちました。笑顔で長生き、ぴんぴんころりの大往生でした。

人生100年時代の「ぴんぴんころり」とは

皆さんは「ぴんぴんころり」という言葉について、どのようなイメージを抱いていますか。何の病気もせず、健康でぴんぴんと自立した生活を送り、薬を飲んだり寝込んだりせずにころりと死ぬことだと考えているのではないでしょうか。

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