ここまで見てきたデータが示すのは、VWが直面している構造的なジレンマだ。
SUVシフトと価格上昇により、VWは収益性の高いプレミアムブランドへと進化した。購入者はVWのデザインと快適性を高く評価しており、ブランドとしての商品力は健在だ。しかし、その代償として、かつてVWの裾野を支えていた若年層・中間所得層の支持を失いつつある。
リピート率が約8割であることは、既存顧客の満足度の高さを示すと同時に、ブランドが狭いターゲットに閉じてしまっていることを示してもいる。現在の購買層がいずれ市場を離れたとき、次の世代がいなければブランドの持続性に影響が出る。
「フォルクスワーゲン」とはドイツ語で「大衆の車」「国民の車」を意味する。平均508万円、購入者の8割がリピーター。その姿は「国民の車」というよりも、静かに成熟したプレミアムブランドのそれだ。日本市場のVWは、もはやかつてのVWではない。

