「一度口が開いている習慣が確立されてしまうと、何もしなければその状態が続きます。さらに成長の過程で別の要因が加わり、新たに『お口ぽかん』になる子どもも出てくるため、年齢とともに割合が上がっていくと考えられます。大学生を対象に行った調査でも約27%が『お口ぽかん』の自覚ありと回答しました。普段は意識して閉じていても気を抜いたときに開いてしまっているようです。子どもの頃についた習慣は、大人になってからも継続してしまいますので、早期から改善を図ることが大切です」
「お口ぽかん」が続くことで、まず影響が出やすいのが“歯並び”や“顔つき”だ。
「本来、舌は上あごに接しているのが正常な位置で、上あごの発育を内側から支えています。しかし、『お口ぽかん』の子どもは舌の位置が下がりやすいために上あごの幅が十分に広がらず、歯が並ぶスペースが不足してしまいます。その結果、前歯が前に押し出され、歯並びが悪くなりやすい。前歯が出るとさらに唇を閉じにくくなり、『お口ぽかん』が悪化するという悪循環が起こります」
口が開いていれば口腔内が乾燥し、細菌が繁殖しやすくなり、むし歯や歯肉炎、日中の口臭のリスクも高まる。さらに、口呼吸になっていれば外気が直接喉に入りやすく、炎症やアレルギー症状の悪化、感染リスクの上昇につながる。
「学習面」「運動面」「高齢期」にも悪影響
「お口ぽかん」は睡眠の質にも影響する。夜間の口呼吸は、鼻づまりや扁桃肥大などによる気道の狭さと関係していることがある。その場合、いびきや睡眠中の呼吸の乱れによって眠りが浅くなり、日中の集中力にも影響しやすい。
「夜に十分眠れていなければ、日中の眠気によって学習面に支障が出ることがあります。寝不足で機嫌が悪くなり、周囲の人とのコミュニケーションがうまくいかなくなることもあるでしょう。また、『お口ぽかん』の子どもは、口で呼吸しやすいようにあごを前に出す姿勢になりやすく、猫背や体幹の不安定さを通じて、運動面に影響が及ぶ可能性もあります」
さらに、小児期に口腔機能が十分に発達しなかった場合、高齢期の嚥下困難などにつながることもあるという。放置せずに口腔機能を育てておくことは、将来の口腔機能低下を防ぐ土台にもなる。
では、なぜ現代の子どもに「お口ぽかん」が増えているのか。齊藤氏は、複数の生活習慣の変化が関係しているとの見方を示す。

