有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ビジネス

ソニー「着るクーラー」が累計84万点の大ヒット…2万7000円でも売れる《酷暑ニッポン》都市の新常識

9分で読める
「REON POCKET6」を着用した男性
40℃を超える酷暑も珍しくなくなった今、ソニーの「着るクーラー」が都市部や海外で売り上げを伸ばしている(写真:筆者撮影)
  • 高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント
2/5 PAGES

「最も大きいのは、サーモモジュールを1つから交互に駆動する2つにしたことです。冷感の持続に加えて冷却効率を高めており、“-2℃の進化”を実現しています。また、冷却と目立ちにくさを両立し、軽やかな冷却体験に最適化したモデルとなっています」と伊藤健二社長は説明する(以下発言は同氏)。

室温35℃の環境で10分経過後の体温を測ったところ、REON POCKET 6は従来モデルよりもー2.2℃高い冷却効果を示した(画像:ソニーサーモテクノロジー)

ペルチェ自体は冷えるが熱を放出するので、それを逃がす排熱口がついている。新商品は排熱口の角度を変えることもできる。

初代モデルの発売以来、毎年春に新商品を投入するが、どんな部分にこだわって進化版を開発しているのか。

「冷却レベルの強さと持続時間の拡大。そして目立ちにくさです。小型なのにしっかり冷えることを目指してきました」

「小型」にこだわるのは、服を着た状態で着用しても違和感が少ないようにしているからだ。発売時から「スーツで働くビジネスパーソンに快適性を届ける」を掲げていた。

管理部の服部悠太氏に着用してもらった「REON POCKET 6」。首元に装着するがほとんど目立たない。購入者の多くは男性だ(写真:筆者撮影)

取材時に筆者も着用してみた。Tシャツ姿でつけたが簡単に装着でき、本体は約165グラムなので重さも感じない。装着すると部分的に冷え、やがて汗が引いた。ただし、熱中症対策商品ではない。あくまでも「首元の部分につけて体感温度をコントロールする」商品だ。

きっかけは上海出張、クラファンを経て製品化

商品開発のきっかけは、2017年夏に伊藤氏が中国・上海に出張したことだった。

「当日の現地は最高気温38℃でしたが、ホテルなどの室内は冷房がガンガンに効いていて寒いほど。気温とのギャップに環境への意識が高まり、『環境課題をテクノロジーで解決する機器』を考え、それが『REON POCKET』の開発につながったのです」

当時はソニーでカメラの設計を担当していた伊藤氏。なぜ、早い段階で「ペルチェ」素子に注目したのか。

「カメラが内蔵するイメージセンサーを冷やすための放熱技術があり、ペルチェの存在も知っていました。開発に際してはR&D(研究開発)メンバーとも情報共有しました」

その後、ソニー社内の新規事業創出プログラム(現:「Sony Acceleration Platform」)に応募して審査を通過する。同社のクラウドファンディング(「First Flight」現在はサービスを終了)を受けて実施したクラファンは6日で目標額「6600万円」に達し、4200台が完売。製品化が決定した。

3/5 PAGES
4/5 PAGES
5/5 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数