「最も大きいのは、サーモモジュールを1つから交互に駆動する2つにしたことです。冷感の持続に加えて冷却効率を高めており、“-2℃の進化”を実現しています。また、冷却と目立ちにくさを両立し、軽やかな冷却体験に最適化したモデルとなっています」と伊藤健二社長は説明する(以下発言は同氏)。
ペルチェ自体は冷えるが熱を放出するので、それを逃がす排熱口がついている。新商品は排熱口の角度を変えることもできる。
初代モデルの発売以来、毎年春に新商品を投入するが、どんな部分にこだわって進化版を開発しているのか。
「冷却レベルの強さと持続時間の拡大。そして目立ちにくさです。小型なのにしっかり冷えることを目指してきました」
「小型」にこだわるのは、服を着た状態で着用しても違和感が少ないようにしているからだ。発売時から「スーツで働くビジネスパーソンに快適性を届ける」を掲げていた。
取材時に筆者も着用してみた。Tシャツ姿でつけたが簡単に装着でき、本体は約165グラムなので重さも感じない。装着すると部分的に冷え、やがて汗が引いた。ただし、熱中症対策商品ではない。あくまでも「首元の部分につけて体感温度をコントロールする」商品だ。
きっかけは上海出張、クラファンを経て製品化
商品開発のきっかけは、2017年夏に伊藤氏が中国・上海に出張したことだった。
「当日の現地は最高気温38℃でしたが、ホテルなどの室内は冷房がガンガンに効いていて寒いほど。気温とのギャップに環境への意識が高まり、『環境課題をテクノロジーで解決する機器』を考え、それが『REON POCKET』の開発につながったのです」
当時はソニーでカメラの設計を担当していた伊藤氏。なぜ、早い段階で「ペルチェ」素子に注目したのか。
「カメラが内蔵するイメージセンサーを冷やすための放熱技術があり、ペルチェの存在も知っていました。開発に際してはR&D(研究開発)メンバーとも情報共有しました」
その後、ソニー社内の新規事業創出プログラム(現:「Sony Acceleration Platform」)に応募して審査を通過する。同社のクラウドファンディング(「First Flight」現在はサービスを終了)を受けて実施したクラファンは6日で目標額「6600万円」に達し、4200台が完売。製品化が決定した。

