3つ目は「印象操作」。努力していると見られたい欲求だ。「あいつは残業して頑張っている」という上司の評価を耳にすると、成果を出すことよりも、努力している印象を与えることが目的化し、必要以上に長く働こうとしてしまう。
4つ目は「事前言い訳」。言い訳を先に用意しておきたい欲求だ。優先度の低いタスクに手を出して自ら忙しい状況をつくり、「時間がなかったからできなかった」という言い訳を事前に用意してしまう。心理学では「セルフハンディキャッピング」と呼ばれる。
いずれも、パフォーマンスを下げたくてやっているわけではない。「もっと良くしたい」という善意や「変に思われたくない」という自然な感情が、本来の目的からズレたアクションを増やしてしまうのだ。
私たちリンクアンドモチベーションでは、「人間は完全合理的な経済人ではなく、限定合理的な感情人である」と整理している。「感情人」だからこそ、心理的な要因からアクティブ・ノンアクションに陥ってしまうのだ。
努力の方向をチェックする―「時間の3分類」という視点
だからこそ、マネジャーは「メンバーが頑張っているかどうか」ではなく、「その努力は本来の目的に向かっているか」を常にチェックしなくてはならない。
チェックする際に有効なのが、メンバーの時間を「有効時間」「投資時間」「無駄時間」の3つに分類して考えることだ。
「有効時間」とは、短期的な成果創出に直接つながっている時間だ。直近の評価期間内に成果へ結びつくかどうかで判断する。
「投資時間」とは、すぐには成果に結びつかないが、将来のパフォーマンス向上につながる時間だ。人材育成、業務改善、新規プロジェクトへの着手などがこれにあたる。ポイントは、「意図を持ってその時間を投下しているかどうか」だ。偶然の学びや気づきは生まれることもあるが、狙って投資しているかどうかが分かれ目になる。

