[Book Review 今週のラインナップ]
・『通貨に信用を刻印する セントラルバンカーの10の提言』
・『知識で国家を拓く 近代日本の国制知ネットワーク』
・『なぜ中東で戦争が終わらないのか』
評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎
「時代の空気」が生んだ異次元緩和 中央銀行の担う役割を捉え直す
中央銀行というと、金融政策を思い浮かべる人が多いだろう。政策金利をどう操作するか。インフレ目標をどう達成するか等々。本書は、そうした狭い中央銀行観を解きほぐし、より広い概念である「セントラルバンキング」の担い手として捉え直す。
セントラルバンキングは、金融政策だけでなく、金融機関に対する最後の貸し手機能、決済システムや市場インフラの維持、国際通貨制度や財政の持続可能性への目配りなどを通じ、通貨への信用を不断に支える営みだ。「通貨に信用を刻印する」とは、まさにこの地味で多面的な努力を指す。
物価安定も、定められたインフレ目標を単に達成すればよいわけではない。金融システムの安定と両立し、持続的な経済活動を可能とするものでなければならない。バブル期の日本もグローバル危機前の米欧も、表面的に物価は安定していた。だが、その背後では、資産価格の急騰や債務の急膨張など金融不均衡が蓄積していた。
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