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斎藤幸平が明言「たった1冊の本で人は激変する」 若き『武士道』信者の思想を根底から覆した《マルクス》との出会い

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血肉となる読書
自身の人生を変えてしまう本と出会ったことがありますか?(写真:mits/PIXTA)
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同時に、日本の良さや「武士道」に関心を寄せていた自分は、そこでナショナリズムのような思想に回収されていたところがあったかもしれない、と思い直しました。当時、日韓ワールドカップの開催でナショナリズムが盛り上がっていたことも影響していたでしょう。新自由主義のもと、個人主義的な風潮が強まる中、バラバラになっていく個人を日本古来の良さで統合したいという思いが、どこかにあったのかもしれません。

そう考えるようになったきっかけの一つもまた、本でした。

「犠牲のシステム」がはらむ矛盾を明らかにしたい

『血肉となる読書 なぜ読むことだけが人生を変えるのか』(あさま社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

かつての日本が戦争を継続する上で靖國神社という装置が果たした役割を解き明かした、高橋哲哉さんの『靖国問題』です。高橋さんが東大の駒場で授業を持たれていたことは、私にとって幸運なことでした。高橋さんはフランスの哲学者ジャック・デリダの研究者ですが、慰安婦問題や靖國問題のような戦後責任という具体的な課題について本を著されたり、『前夜』という雑誌を作られたりしていたことに、大きな影響を受けたのです。

高橋さんは後に、『犠牲のシステム 福島・沖縄』という本を著しています。そこで、経済発展や安全保障といった共同体全体の利益が、重い基地負担に苦しむ沖縄や原発事故で多くの人が故郷を追われた福島など、誰かを犠牲にするシステムの上に成り立っていることを指摘しています。

その言葉を借りるならば、私も、人の意識ではなく誰かを犠牲にする社会のシステムそのものに着目するような研究をしたい。とりわけ、マルクスをもっと深く知ることで、資本主義という「犠牲のシステム」がはらむ矛盾を明らかにしていけるのではないか。そう強く考えるようになったのです。

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