それに対して50代・60代というのは、もちろん役職や介護の都合で忙しくなる人もいるが、概して子育てが一段落し、また働く時間の裁量権も大きくなり、以前よりは時間の自由度が大きくなりやすい。また金銭的な余裕も出てくる。そして健康面でも、まだ不自由なく動くことができる人が大半のはずだ。50代・60代とは、健康・時間・お金という3つの資源が同時に成立する、人生の中でも貴重な期間と言える。
この貴重な期間を、自分の人生を豊かにするために最大限に活用すべき、というのが本書の主張だ。そして50代・60代とは、多くの人にとってこの「記憶の配当」を積み増しやすい時期なのだ。
しかし、自分が実際に還暦を過ぎてみると、この貴重さを看過しそうになる。自分がいつまでも健康だと「勘違い」するからだ。そして、せっかく自由に使える余裕ができてきた時間を、つまらない用事で埋めようとする。
今まで十分に働いてそれなりの金融資産をもつようになったら、後悔しない生き方を考えるべきだろう。つまり、無駄に働きすぎず、自分に正直に、自分が幸せになるために時間を使うことを許していくべきなのだ。
「タイム・バケット」で残りの人生を区切ってみる
「バケットリスト」という言葉がある。人生でやり残したこと、これからやりたいことのリストだ。もちろん旅とは限らない。家族や友人と語らったり、新しい趣味を始めてみたり、美味しいものを食べたり、といったことなどたくさんあるだろう。
旅好きな人ならば、バケットリストにあがる場所は国内でも海外でもたくさんあるはずだ。では有限な残りの人生の中で、どのように旅を計画すればよいのだろう。
著者はこの「バケットリスト」に時間軸を加えた「タイム・バケット」という考え方を勧めている。やりたいことをただ並べるのではなく、それぞれの経験を「どの期間にやるか」という年代別の枠に割り振っていく方法だ。

