もちろん、終末医療や葬儀などの費用を考えると、死ぬ直前にもある程度の資産は必要だ。また、想定より「長生きするリスク」を考慮する必要もある。
しかし現実には、もちろん個人差は大きいとはいえ、下の表に示す通り、日本人は高齢になっても金融資産を貯め込んでいるのだ。

また内閣府の「令和6年度 年次経済財政報告」によると、世帯当たりの金融資産は60~64歳で平均1800万円強、85歳以上でも1500万円強となっている。高齢期に入っても資産の取り崩しは限定的で、多くの人が資産を十分に使い切らないまま保有している可能性がある。
もちろん個人差は大きいとはいえ、概して日本人は、老後の資産を心配しすぎてお金を貯め込んだまま、人生を楽しむために使うことなく死んでいく、ということが言えそうだ。
「記憶の配当」を残そう
著者は、終末期医療に携わった看護師ブロニー・ウェア氏が記録した、死にゆく人々が後悔することを紹介している。
人生の最後に最も多い後悔とは、「働きすぎなければよかった」「自分に幸せになることをもっと許せばよかった」「他人の期待ではなく、自分に正直な人生を歩めばよかった」といったものだそうだ。
人が死の間際に悔やむのは、資産の残高ではなく、しなかった経験、行かなかった場所、後回しにした挑戦なのだろう。そして著者は、人生に最後に残るのは「思い出」だけと説明している。

