原作者の福澤克雄は、「『何がどうなるかはわからないけど、とにかく次の展開が気になる』と思ってもらえるような作品」にしたいとまず考えた。そしてそのために決めたのが、「第1話の段階であえて『物語を動かし過ぎない』こと」だった。乃木が別班であることを第1話で明かす案もあったが、そうしなかった(『U-NEXT SQUARE』、2023年12月15日付記事)。
この発言からは、『VIVANT』が「考察のための考察ドラマ」ではないこともわかる。「別班」として陰で命の危険にもさらされながら国のために働く人たちの存在をより効果的に表現するための手段として謎がある。ただ単に伏線をちりばめ、毎回衝撃的な事件を起こして視聴者の気を引こうとするのではない。スパイアクションものではあるが、謎当てがメインの娯楽作では終わらない。それがドラマとしての本質的な見応えにもなっている。
『VIVANT』はグローバル化時代に挑む日本製ドラマ
ドラマはいまやテレビだけのものではない。サブスクなどネットでドラマを見る習慣もすっかり定着した。そこでは、海外のドラマと日本のドラマが対等な立場で競い合っていて、視聴者は海外製か日本製かに関係なく自分の嗜好に応じて見たい作品を選ぶようになっている。
『VIVANT』は地上波ドラマでありながら、そんなドラマのグローバル化時代に真正面から挑んだ作品と言えるだろう。
基本の設定も、グローバル化時代をそのまま反映したようなものだ。海外の同様のドラマでは国際的なテロ組織が絡むストーリーは定番だが、日本のドラマでここまでそうしたストーリーがじっくり描かれるのはまだ珍しい。「国際社会のなかの日本」という視点で紡がれるドラマとして新鮮だ。
ただ現在のところ、ネットで配信もされた第1期についての海外の評価はさまざまのようだ。その点での試行錯誤は続いているということだろう。豪華なキャスト、スケール感あふれる映像と演出、そしてグローバルかつ緻密な物語展開が一体になり、まれにみる超大作となった『VIVANT』。第2期の展開に大きな注目が集まる。

