ビーズを並べたり、クリームを絞ったりと、工程そのものを遊びとして味わえるのが魅力だが、大人になった今それを買い直す理由は「完成させたいから」ではない。仕事や日常の合間に「手を動かす時間」を楽しむため——つまり、プロセスに価値があるのだ。メルカリでは当時の未開封品が4000円〜1万3000円で取引される人気ぶりだ。
ここで重要なのは、過去のトレンドとの違いだ。22年頃に流行した「沼レシピ」や日清の袋麺アレンジは、「こうすればおいしい」という結果がトレンドになった。消費者は自分で材料を揃え、考えて作る必要があり、失敗するリスクもあった。
しかし26年のプロセス没入消費では、行為の瞬間そのものがトレンドになる。ライスペーパーを包む、王冠を折る、クリームを搾る——どれも失敗しようがなく、誰がやっても「それらしい絵」になる。
なぜ今、こうしたトレンドが生まれたのか
第一に、SNS映えへの疲れとマンネリ化。CanCamの専門家分析によれば「平成レトロブームの特徴はシール帳や手作りチョコなどのクラフト感。リアルな手作りのぬくもりを少人数の友達とシェアする楽しさが支持を集めている」という。「完成した見た目を映える写真に撮る」という行為がルーティン化し、それ自体への飽きが生まれている。
「作る行為」自体を楽しむトレンドは食以外にも広がっている
第二に、平成女児ブームによる「作る遊び」の再燃だ。25年にはルミネエスト新宿でのイベント「ニュートロ with ナルミヤキャラクターズ」が平日にもかかわらず整理券が即配布終了となるなど、ブームの熱量が裏付けられている。SHIBUYA109 lab.も26年トレンド予測で「平成女児アイテム」への注目を打ち出した。

