自分とは違った意見に出会ったとき、反射的に「それは違う」「あり得ない」などと感情的に拒絶したくなる(あるいは、してしまう)ことがある。しかし人類学を理解すれば、感情で判断する前に「なぜ、相手はそう考えるのだろう?」と、その“背景”に関心を持てるようになるという。
これは、人類学者が未知の文化を調査するときの姿勢と同じ。先述のレヴィ=ストロースのなかにも、それがあったのではないだろうか。
これができるようになると自分の「あたり前」から相手を評価しなくなります。不思議と「私とあなたは違う」という対立的な気持ちが薄れ、相手の考えを尊重して接することができるようになるのです。(55ページより)
この姿勢は、私たちの視野を広げ、多様な意見を受け入れる土台となってくれるだろう。また相手にも、「この人なら、安心して話せるな」というような安心感を与えるはずだ。したがって、いい関係性を築くための大きな一歩となるのである。
違和感は自分の価値を見つけるヒント
新しい部署に異動したり、あるいは転職したりしたとき、「前の職場ではこうだったのに」「ここに〇〇があれば、もっとスムーズなのに」などと感じることがある。最初は単なる違和感だと思うかもしれないが、実はそうではないのだという。
だが残念なことに、こういった新鮮な気づきは、新しい環境に慣れてしまうと、いつの間にか消えてしまいがちでもある。だからこそ、「違い」を意識し続けることが大切なのだ。
また、そうやって「違い」と向き合い続けることは、「自分自身の内面と向き合う」ことにもつながるに違いない。
「なぜ、自分はそう感じるのか?」と問いかけることで、自分でも忘れていた自分の「強み」や「こだわり」に気づくことがある。それは、自分の価値を見つめなおすことにつながるのだ。
こうして考えてみると、人類学を活かしたコミュニケーションの取り方が有効であることを実感できるのではないだろうか(少なくとも私は、大きく実感できた)。

