世界初・大学の中にある市場に
話を聞くほど、旦過市場の課題も見えてきた。
市場の店じまいは早く、16時に閉まる店もある。仕事帰りの人が寄る頃には、ほとんどの店が閉まっている。「それも今後の課題です」と話す黒瀬さんは、「買ってすぐ食べられるものを店で出していこう」と、店に働きかけている。
客足にも変化がある。「今年になってから、客数が減っているような感じがします。うちの店は減ってます。3月ぐらいから」と中尾さん。
スマートレジで客数やリピーターを分析できる「米夢マイム」だから分かることで、多くの店は売り上げしか分からない。客数減の理由を、中尾さんはAIに尋ねてみたそうだ。物価高で節約志向が進み、全国的に商店街の個人店の客数は減っているという。火事を乗り越えた市場は、再び転換点にある。
再整備では、市場の隣に北九州市立大学の新しい建物が建ち、その1階が市場になる計画だ。市場のなかに大学ができるのか、大学のなかに市場ができるのか。「世界初だと思いますよ」と黒瀬さんは言う。すでに再整備の第1弾として、新市場棟「旦過市場いちばん館」も姿を現している。これから1、2年、大学棟の工事で通りが狭くなり、迂回しないと入れない時期も来る。
それでも、と中尾さんの声に熱がこもる。
「100年のうちの、たった2年の話なんですよ」
新しい「旦過市場いちばん館」と、いまの市場。新旧ふたつの旦過が並ぶ姿を見られるのは、あと2年ほどだという。

