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ライフ #サオリス・ユーフラテスの数字の向こう側

「残ったところも火をつけてやる」の脅迫も…2度の大火から生き残った《旦過市場》が「観光地化」を選ばない深い訳

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旦過市場
「北九州の台所」と言われる旦過市場は、100年後を見据えて生まれ変わろうとしている(写真:筆者撮影)
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「いましか見られない旦過を楽しんでもらいたいですね。やってる本人たちは必死ですけどね。生活もかかってますし。それでもつなげるということは、そういうことだろうと思うんで」

旦過市場の好きなところは?

最後に旦過市場の好きなところを中尾さんに聞くと、意外な反応が返ってきた。

「嫌いなところはいっぱい出てくるけどな。ごめんなさいね、私、正直なんで」

困ったように笑うと、店に立つ妻のまりこさんに声をかけた。「俺、旦過市場の好きなところを話したことあるかな?」。まりこさんからも言葉は出てこない。

(写真:筆者撮影)

それでも続けている理由を尋ねるとこう返ってきた。

「旦過市場は、みんなに愛されてるんですよ。それはもう、火事の時に感じました。だから守っていかなければならない」

中尾さんは、続けた。

「この時代に、生鮮品を中心とした個人商店の集まりが、地方都市で残っていること自体が奇跡なのは分かってたんですよ。でも、生き残っている理由は分からなかった。火事の時に、自分の大切なお金を寄付してくれる人がいっぱいいた。北九州の名だたる企業も助けてくれた。なくてはならない市場なんだから、頑張って続けてくれよというエールなので。愛されてないと、そこまでしてくれないと思うんですよね」

旦過は、必要とされ、生き残った。

「めちゃめちゃ幸せなことだと思うので」と中尾さんは言葉を継いだ。

「だから好きなところで言えば、皆さんが好きでいてくれる旦過市場が好きだということでしょうね」

次の100年へつなぐ。中尾さんの言葉を借りれば、「自分たちが見ることのない、明るい未来」だ。

みんなに愛されている旦過市場を残すために、黒瀬さんは今日も市場を語り、中尾さんは組合を束ねる。

16時半ころ、取材を終えると、中尾さんとまりこさんは、店じまいの支度を始めた。このあと、ふたりで整体に行くのだという。この空気も、旦過市場を作っている。また、帰ってきたくなる場所だった。

(写真:筆者撮影)
(写真:筆者撮影)
(写真:筆者撮影)
最初から読む→→→前編:「インバウンド価格とは真逆!」牛串350円、唐揚げ280円、天然まぐろ丼1000円…北九州《100年市場》の底知れぬ魅力

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