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ライフ #サオリス・ユーフラテスの数字の向こう側

「残ったところも火をつけてやる」の脅迫も…2度の大火から生き残った《旦過市場》が「観光地化」を選ばない深い訳

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旦過市場
「北九州の台所」と言われる旦過市場は、100年後を見据えて生まれ変わろうとしている(写真:筆者撮影)
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「僕らが出した火ではないんですけど、イメージ的にはもうそうなっちゃうんで。でも『うちじゃないんだけどね』ってあんまり言わない方がいい。喋る内容もある程度みんなで決めるんですよ。代表として喋るから。そこがいちばんつらかったですよね……やっぱりつらいですよね」

2度目の火事が報じられると組合の事務所には、「残ったところも火つけてやる」という電話までかかってきた。SNSには、寄付金で私腹を肥やしているという中傷も流れた。

「僕らはあんまり気にしなかったですけどね。その時はもう、必死だったんで」

潰して、立ち上げる

火事の翌年、2023年。黒瀬さんは会長の座を中尾さんに引き継いだ。そして2025年、副会長も退いた。顧問として携わるいま、旦過市場への思いをこう語る。

「基本はお客さんに喜ばれる強いお店が残って、その集合体が旦過市場の魅力なので。それぞれのお店に頑張ってほしい。儲けていただいて、それが旦過市場がずっと残っていくことかなとは思っています」

バトンを受けた中尾さんは、いま、市場の組合をひとつにまとめ直す渦中にいる。旦過には歴史的に複数の組合があり、財布も別々だったという。古い組合を解散させながら、新しい協同組合を立ち上げ、ひとつに束ねる。

「立ち上げもしなくちゃいけないし、潰すのもしなくちゃいけないし。もうおかしなことになってるんですよね」と苦笑する中尾さん自身、ブティックだった店を5年かけて畳み、米の店を立ち上げた人だ。

「潰して立ち上げるっていうのは、まさに、私の人生のようなもので。ただ、自分の将来のことは自分で決められますからね。街のことは、常に話し合って、合議制で決める。そこをまとめるお手伝いをするという話なんで」

昭和生まれの60歳。できることなら次の世代に引き継ぎたい。でも、中心になるのは、ひとまわり以上下の40代。まだ子育て真っ盛りの世代だ。

「準備はしとってちょうだいねって約束して、一旦引き受けたという感じ」

笑顔で語る中尾さんは、あと1、2年、つなぐと決めている。

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