ここに来たら、何でもある
市場を出て、隣の青空市場の飲食スペースに腰をおろした。隣のパラソルでは、カップルがビールとノンアルで乾杯していた。聞けば、苅田から車で40分かけて来た34歳の夫婦だった。子どもが保育園に行っているあいだに、よくデートに来るそうだ。朝から夕方まで、寿司や燻製をつまみに、飲んで過ごす。持参したクーラーボックスには、行きつけの店で買ったズリ(砂ずり)刺しが入っていた。
「ここに来たら、何でもあるよね」と、顔を見合わせ笑う。
端から端まで歩いて、ずいぶん食べた。気になっていた価格は、高いと感じることはなかった。むしろ、専門店の味をこの値段でいいの? という驚きの方が大きかった。通り道で買い物ができる、地元の人がうらやましく思えた。40分かけてでも通いたくなる旦過市場は、たしかに「北九州の台所」だった。
後編では、2度の大火を経て生き残り、再開発の途上にある旦過市場について、商店街会長の中尾憲二さんと、顧問の黒瀬善裕さんに話を聞いた。

