洋室に入ると、床は完全にゴミに埋もれてしまっていた。窓にかけた黒いカーテンの前までペットボトルの層が積もり、その圧で窓ガラスには亀裂が入っていた。キッチンには生活ゴミに交じって大量のマスクがある。コロナ禍でとくに増えたゴミの1つだ。
ベランダに放置されたゴミは、風と紫外線にさらされて劣化し、原型を留めないほど粉々になっている。放り出された服は、雨に濡れ、日に乾くことを繰り返し、強烈な臭いを放っていた。
「結構(ゴミは)多いほうな気はします。個人的には久々の多さですね」(現場のスタッフ)
イーブイに寄せられるゴミ屋敷の片付け依頼は、1人暮らしの住人からも多い。
「昔は家族で住んでいたけれど、今は1人。1人になった途端に片付けられなくなる、という方が多いんです。遠方から出てきて、身近に相談できる人がいなくなると、自分ではどうしようもできなくなってしまうのではないかと」
この日の作業はスタッフ計5名。ワンルームで狭いながらも、4時間ほどはかかる見込みだ。
「人に会えなくなったから散らかった」わけではない
当時、「コロナ禍で人と会う機会が減ったことで部屋が荒れていった」と語るゴミ屋敷の住人は多かった。コロナ禍で友人を自宅に招けなくなり、片付けのきっかけを失った――。今回の依頼主である女性はそう語る。
現場のスタッフも、その感覚はわからなくはない。
「人が来るとなると、片付けなあかんというスイッチが無理やりにでも入りますよね」(スタッフ)
だが二見氏は、必ずしもそうだとは見ていない。
「人に会えなくなってゴミ屋敷になったんじゃなくて、ゴミ屋敷になったから人に会えなくなった。順番が逆なのではないかと」(二見氏、以下同)

