薬によって痛みは軽減した。それでも、病気と付き合い続けなければならない現実は変わらないのだ。
朗らかな笑顔で取材に応じる工藤さんだが、病気によって失ったものは少なくない。もともとは、自転車やボルダリングなど、体を動かすことが趣味だったという。しかし現在は、そのほとんどを諦めざるを得なくなった。
「現在服用している薬の中には、『車の運転等を行ってはならない』と定められているものもあります。その影響で、自転車に乗ることはできなくなりました。
また、医師からは筋肉をほぐすために適度な運動を勧められています。でも、その"適度"が本当に難しい。少し無理をするだけで全身が激しく痛み、逆に動かなければ筋肉はどんどん硬くなる。今でも、その加減を探りながら生活しています」
以前は当たり前だった、思い切り体を動かした後の心地よい疲労感や達成感。その喜びは、今では遠いものになってしまった。
指定難病に含まれていない
工藤さんは、スティッフパーソン症候群(SPS)が指定難病に含まれていない現状に課題を感じている。認知度が低いため診断が遅れやすく、患者は長期間、原因不明の苦しみを抱えることになる。指定難病になれば、医療者間の認知向上や医療費負担の軽減につながる可能性があるかもしれない。
「私は診断がつくまでの期間が一番つらかった。何度『精神的なものではないか』と言われても、諦めずに受診を続けたことで病名にたどり着けました。だからどうか、現在進行形で原因不明の症状で苦しんでいる方も、諦めないでほしいです。患者自身が粘り強く行動し続けることで、変わる未来もあると思っています」
診断まで約3年。工藤さんの歩みは、希少疾患の診断の難しさと、患者の声に耳を傾けることの重要性を静かに物語っている。

