新卒者の賃上げ報道が続く一方、30~40代を中心に「自分の将来の給与がどうなるのかわからない」という不安が広がっている。本連載では、給与水準そのものよりも、「3年先の見通し」と「報酬の透明性」を軸にキャリアを考える視点を示したい。特に生活に直結する「未来の手取り」を起点にすることで、働き方をより具体的に考えやすくなる。
第1回は、多くの人が感じる給与のモヤモヤの正体が「未来が見えない」点にあることについて解説する。
【配信予定】
②納得できるキャリア選択のカギは将来の報酬見通しの「透明性」を見極められるかにある(8月25日)
③給与だけでは測れない自社の「総合報酬(トータルリワード)」をABCDE枠組みで把握する(8月26日)
④統合報告書・人的資本レポートなど開示情報は「将来の給与」を読み解くための宝の山(8月27日)
⑤「もう辞めたい」の衝動に流される前にキャリアは3年先を起点に逆算して考える(8月28日)
賃上げそのものは進んでいるが…
「賃上げで若手ばかり給料が上がる。でも、自分の給料はそれほど上がっていない」
「給料は少し上がっているはずなのに、むしろ将来が不安になった」
近年、特に30~40代を中心に、こうした声を耳にするようになった。賃上げは本来、働く意欲を高めるはずのものだ。しかし、賃上げが行われているにもかかわらず、どこか気持ちが晴れない人が増えている。とりわけ昨今、新入社員の初任給が大きく引き上げられていることが、多くの中堅層の胸をざわつかせている。
実際、賃上げそのものは着実に進んでいる。2022年以降、物価上昇や若手の採用難を背景に、ベースアップや初任給の大幅引き上げが相次ぐ。春闘でも高水準の回答が続き、「給料が上がる時代が来た」と感じる場面は増えている。
しかし、自分はそこまで豊かになっていないと感じる人が少なくない。社会の動きとしては理解できても、どこか腑に落ちない。その違和感が、言葉にならないモヤモヤとして引っかかる。さらに、その奥にある「この先、自分はどうなるのか」という見通しへの不安感が、それに拍車をかけている。
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