政府の姿勢を反映して、これまでも続いていた日本経済のマクロ的な動向が、このところ極めてはっきりした形で表われている。それは「長期金利の上昇」と「円安の進行」だ。
まず長期金利について見ると、新発10年国債利回りは昨年秋には1.6%台であったが、その後上昇を続け、今年に入ってからは2%台に乗せた。そして最近に至って、上昇のテンポが速まっている。7月9日には2.9%に達した。
続いて、円安の進行についても見ておきたい。これも昨年から続いていたが、今年に入ってから一段と進んだ。
大型連休前の4月30日には1ドル=160円台後半まで円安が進んだ後、為替介入が行われたとみられ、一時155円台まで円高に戻した。しかし、その効果は長続きせず、再び円安基調に戻った。7月6日には1ドル=162円台前半から半ばとなった。これは約40年ぶりの円安水準に近く、危機的な水準である。
物価上昇を加速させる歴史的円安
教科書的な経済学では、政府が拡張的な財政政策を行えば、金利が上昇し、それによって海外から資金が流入し、為替レートは円高になると説明される。しかし、いま起きているのは、それとちょうど逆の現象だ。長期金利が上昇しているにもかかわらず、円安が進行している。
しかも、上述のように日本政府は4月末から5月初めにかけて円買い介入を行ったにもかかわらず、円安を止めることはできなかった。このことは、現在の円安が単なる短期的な投機の動きによるものではなく、日本経済の基礎的条件に根ざした強い圧力によって生じていることを示している。
これまで円安は、日本の輸出を促進するものとして望ましいことと考えられることが多かった。しかし、現在のような円安は日本経済にマイナスの影響を与える側面が強い。
まず、円安によって輸入物価が上昇し、日本の物価上昇をさらに悪化させることになる。エネルギー、食料品、原材料などの輸入価格が上がれば、企業のコストが増え、それが消費者価格に転嫁される。

