これまで完成品を作るには、大きな費用と時間が必要でした。
ソフトウェアを開発するにはエンジニアが必要で、Webページを作るにもデザイナーや制作会社が必要で、営業資料や広告コピーを大量に作るにも相応の工数がかかりました。
だからこそ、完成品をいきなり作ることは危険だったのです。
しかし、生成AIの進化によって、この前提が崩れ始めています。
「完成品を作るコスト」が崩壊した
簡単なソフトウェア、ランディングページ、広告文、営業メール、提案資料、動画の台本、サービス紹介ページ。これらを、以前よりもはるかに短い時間で、完成品に近い水準まで作れるようになりました。
私はこの構造変化を「完成品製造コストの崩壊」と呼んでいます。
ここで重要なのは、AIによって「何でも簡単に作れるようになった」と言いたいわけではない、ということです。
AIで作れるものと、AIだけでは作れないものがあります。物理的な設備、店舗運営、料理、医療機器、ロボット、物流オペレーションなどは、当然ながらAIだけで完成品を作れるわけではありません。
しかし、事業を構成する要素の中には、AIによって一気に完成品に近づけられる部分があります。
たとえば飲食店であれば、料理そのものはAIが作るわけではありません。しかし、ターゲット別の案内ページ、SNS広告文、予約導線、顧客向けメール、キャンペーン訴求は、AIで何パターンも高速に作ることができます。
BtoBサービスであれば、プロダクトの中核機能はまだ開発が必要でも、顧客別の提案ページ、営業資料、デモ画面、導入シナリオは、AIを使えば短期間で複数案を市場にぶつけることができます。
つまり、事業全体を一気にAI化するのではありません。
事業を要素ごとに分解し、「ここはAIで一気に作れる」「ここは人間が丁寧に検証する」と見極めることが重要になります。
このとき、新規事業開発にはMVPとは別の選択肢が生まれます。
完成品に近いものを、従来よりはるかに低いコストで市場へ出し、顧客の本気の反応を確かめる。それがFPL、Full-Product Launchです。


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