町田さんは、「まず社会からの役割期待がある」と指摘します。そのため「自分は『通常の父親』のようにふるまわなくてはいけない」「いい父親にならなければいけない」と感じてしまう。後者の「いい父親」という規範は、いわゆる「ふつう」の父親にも共通するものです。
ステップファミリーにおいては、「再婚相手からの期待もある」と町田さんは言います。
「子どもの実親が、パートナーに『元の親の代わりになってほしい』という期待をかけてしまうことがあって、これも不和の元になりやすい。『元の親とは別の親になる』という認識ならまだいいのですが、『前の父親(母親)はリセットして、その代わりになる』という発想だと、子ども自身やその人生を無視することになってしまいます」
子どもにはそれまでの人生のストーリーがあり、以前の親との絆も(たとえそれが不適切な養育だったとしても)その子の一部です。それを「リセット」して代わりになろうとするのは、その子が歩んできた歴史を塗り潰し、存在を否定することにつながってしまう――町田さんは、そう指摘します。
では、「親でもないくせに」と言われたとき、言われた側はどうしたらいいのでしょうか。町田さん自身、かつて親族の子どもたちを育てていたときに「父親じゃない」と言われた経験があり、「その言葉がどれだけ刺さるかは、とてもよくわかる」と話します。
「やっぱり、言われたときは頭に来るんですよね。でも実際、元の親とは違うわけですから、『そうだよ、だから何』と流すしかありません」
「周囲に明らかにする」から始める
子どもとの関係に頭を悩ませる中途養育者は大勢いるはずです。しかし、そういった大人の声はあまり聞こえてきません。町田さんは「隠さずに、表に出すことが重要だ」と話します。
「『実の子どもではないけれど育てている』という事実を、周囲にオープンにすることがまず必要だと思います。里親と同じように、継親だって賞賛されていいはずです。わざわざ子どもがいる相手と結婚して、養育にあたろうというのですから」
ステップファミリーや継父、継母はどこかタブー視されていて、本人たちも言いたがらないというのが、今の社会の現実です。

